754 エゾアカガエル

エゾアカガエルの卵塊エゾアカガエル林道わきの根雪が水溜りになって残っている。そんな環境を見つけ出し、エゾアカガエル(Rana pirica)が集まって産卵する。足元に生き物たちの春を実感する一瞬だ。トノサマガエル、ダルマガエルを含む Rana 属の北海道産はこの一種のみ。種小名 pirica はアイヌ語の「美しい」からきている。

静寂の中、ゆっくりとしかし確実に時は刻まれている。樹の芽は動かず、地表を動き回るものは見つからない。私の思考もすでに純化されてしまって、ただ佇んでいるだけだ。春浅い冷たい水で、いのちは復活する。卵塊のブツブツを見ていると「生命は泡から誕生」した、春の生き物は「枯葉から蘇る」と思ってしまう。